日常が愛おしくなる映画。ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」。(ネタバレあり)感想。

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昨日、新宿武蔵野館で「パターソン」を見てきました。ジム・ジャームッシュ監督作品は学生時代によく見ていましたが、「ブロークン・フラワーズ(2005年)」を劇場で見た頃くらいから、特に作品見返すこともなく、失礼ながら私の清酒運時代とともに、なんとなく「過去」という心のフォルダーに入ったままの存在でした。

ところが・・・

ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。そんな彼が過ごす7日間を、ジャームッシュ監督ならではの絶妙な間と飄々とした語り口で描く。

スタッフ

監督 ジム・ジャームッシュ
製作 ジョシュア・アストラカン /カーター・ローガン
製作総指揮 オリバー・ジーモン /ダニエル・バウアー

キャスト
アダム・ドライバー /ゴルシフテ・ファラハニ/バリー・シャバカ・ヘンリー /メソッドマン/ チャステン・ハーモンマリー

パターソン(Paterson)(118分)
★★★★★ 100点

素晴らしかったです!!!!

最後ズームインされてゆくアダム・ドライバーを見ながら、自分でもびっくりするくらい、涙が止まらなかったです。ジャームッシュ監督の集大成であり、最高傑作だと思います。

劇中何度も主人公のパターソンの視点での景色が彼の秘密のノートに書き綴る詩の文言がスクリーンに刻まれます。
パターソンの視点がジャームッシュ監督そのものと解釈すると、監督の映画の淡々としつつも、とても味のある映像は、監督はフィルムに詩を刻んでいると考えると納得がいきました。ジム・ジャームッシュ監督は20年前からこの映画の計画を持っていたとのことです。

また、劇中の10歳の少女が読む詩(water falls)は、監督が書いたものだそうです。
また、人々に対する視点もとても愛しみと興味にに満ちたもので、
何気ないバスの会話を聞くパターソン。

流れる景色。人々もうずっと見ていたいと思いました。

この映画をずっと見ていたいと思うと同時に、自分の日々にも愛しみを感じました
なので、最後にこの事に気づき、涙がでました。
劇場を出た瞬間から世界が暖かくぼうっ光って見えるような感覚がありました。

*ずっと見ていたい用の動画がありましたので以下に貼っておきます。
この映画に詩を提供しているのはRon Padgettという人で、劇中の詩と映像が纏められています。(ネタバレ注意です)
Paterson – All Best Poems

そんな詩的で繊細な世界に加えて、ジャームッシュ監督の最高にカッコイイ味付け要素が、
ロックでありヒップホップであります。永瀬正敏、メソッドマン。それとパターソンの彼女。
ジャームッシュ監督だからこそのアウトローであり、アーティスティックであり、詩の世界でこれ等が混ざり合える。この映画は大事件は起こりませんが、とても多彩な情報に満ちています。

以上「素晴らしき我が日常。ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」について」でした。