「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」)ネタバレあり)感想

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8月第1週、微妙に見たい映画が近くでやってないのですが、映画館に行きたい欲が高まったのでシネマテークたかさきで「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を上映しているのを知って、仕事帰りに群馬県高崎市に行ってきました。

↑ 「シネマテークたかさき」、ラインナップもいいし、本数も多数上映していて素晴らしいです。できるだけ多くの良い映画を高崎で上映したい!という意気込みを感じるとてもありがたい映画館です。埼玉からも、関越自動車道を使えば意外と近いので今後お世話になります。

ストーリー
1954年、シェイクミキサーのセールスマン、レイ・クロックに8台もの注文が飛び込む。注文先はマックとディックのマクドナルド兄弟が経営するカリフォルニア州南部にあるバーガーショップ「マクドナルド」だった。合理的なサービス、コスト削減、高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したクロックは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するクロックと兄弟の関係は次第に悪化し、クロックと兄弟は全面対決へと発展してしまう。

監督 ジョン・リー・ハンコック
製作 ドン・ハンドフィールド / ジェレミー・レナー / アーロン・ライダー
製作総指揮 グレン・バスナー

キャスト
マイケル・キートン レイ・クロック /ニック・オファーマン ディック・マクドナルド / ジョン・キャロル・リンチ マック・マクドナルド / リンダ・カーデリニ ジョーン・スミス / パトリック・ウィルソン ロリー・スミス / B・J・ノバク ハリー・ソナボーン / ローラ・ダーン エセル・クロック / ジャスティン・ランデル・ブルック フレッド・ターナー / ケイト・ニーランド ジューン /


「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(2016)(116分)
★★★★☆ 85点
 

面白かったです!

マイケル・キートン演じるレイ・クロックが、自己啓発レコードを聞きながら、己を奮い立たせ、えげつないことをしながらも、マクドナルド帝国を作り上げるストーリーです。

見終わった後も、ビジネスにおいて良いことが、本当に良きことであり、当人にとっても幸せなことなのか?真の成功とは?を考えてしまう映画でした。

レイ・クロックが聞いているのは↓「Power of Positive Thinking/Norman Vincent Peale」成功を掴むための自己啓発書の古典で、今も読み継がれている本のようです。ドナルド・トランプも読者の1人だとか・・・

レイ・クロックは、才能や学歴に頼ること無く、努力と諦めず行動を続ける事によって、成功を目指す人物で、ちょっとお馬鹿な一面もあり、マイケル・キートンがハマっております。セールスなり、ビジネスを売り込む場面は、自己を奮い立たせ完全に振り切っていて、面白いです。

そんなレイ・クロックにローラ・ダーン演じる奥さんも、呆れながらもずっと付き添っています。しかしそんな奥さんに対しても最後酷い扱いをしてしまうという展開。

映画は「マクドナルド → 実はレイが兄弟から乗っ取って作り上げた帝国」である事が全面に出ているので、レイのエゲツない部分を主に描いているように見えますが、功(良い面)も描いています。どちらもレイからするととにかく「積極的に行動している」結果なんですよね。レイがした良いことと言えば、例えば以下の様な事かなと。

・マクドナルド兄弟の夢の実現を手助けする。

・安心して入れて、安く美味しいハンバーガーを全米で買えるようにした。

・真面目で勤勉な人たちに働く場を全米で作った。

 

マクドナルドを全米に広げることは、マクドナルド兄弟ではできなかった事です。遠隔地において彼らが求めるオペレーションの維持が難しく、どうしても品質が確保できない。そこでレイが発明した突破口は、責任者に若い夫婦を据え、特に女性の目線を入れてオペレーションさせ、見事に品質の問題をクリアしてゆきます。彼らも活き活きと働き出す過程などはレイが神々しく見えるほどです。

マクドナルド兄弟も店の運営において夫婦的な役割分担で上手く行っていたようにみえます。レイはこの点を見抜いて運営に活かします。彼が起こしたイノベーションがマクドナルドの全米展開を可能にしたということは言えると思います。

 レイが従業員に繰り返し言う「WE ARE FAMILLIY!!」という合言葉が、後半の展開に対し皮肉です。

レイ・クロック側から考える

レイは徹底してマクドナルド兄弟を排除するわけですがなぜでしょう? 彼自身は「マクドナルドという名前を見たときから手に入れようと思っていた。」と言いますが本当でしょうか?

私は、レイは結局、感情に動かされた思っています。レイ・クロック側から動機を探りながらストーリーを振り返ってみると、自宅まで抵当に入れ、マクドナルド兄弟作ったレストランを全国に展開させる。これは兄弟にとっても夢を実現する事でした。前述のように、「良いこと」を進めているのにも関わらず、彼に協力しようとしないマクドナルド兄弟に対しての怒りの末にこの仕打ちあがあると思います。

シェークの問題がそれを上手く表しています。

品質維持の問題を乗り越え、店舗は大衆からも認められてきていた。しかし、シェークの材料であるアイスクリームの冷凍費用の問題で、費用がかさみ、資金がショートしそうになります。この問題を解決策が粉のシェークへの変更だった訳ですが。レイの努力と提案に対して、兄弟は理解を示さず一蹴します。この事は兄弟がレイに死ねと言ったことに等しいと思います。

万策尽きたレイに対して、ギリギリのタイミングでアドバイザーが現れ、フランチャイズの土地を手に入れてリースすることで利益を還元する仕組みを取り入れ、形勢を逆転させてゆく。そこから一気に帝国を作り、兄弟との契約を見直し、「マクドナルドと言う名前を奪い取り、自らをファウンダーと名乗る」に至ります。

兄弟に契約破棄を告げるメッセージとしても、粉シェークを送りつけております。兄弟の夢を実現するのに駆けずり回っている自分のピンチの時に手を差し伸べなかった兄弟に対しての怒りがあったのでしょう。

そこまで拘ったシェーク問題ですが、どう考えても粉のシェークって美味くないですよね。実際、現在もそうですが程なくしてアイスクリームを使用する方法に戻っています。

レイ・クロック、一代でマクドナルドを全米展開させたビジネスの鬼の様な印象ですが、この映画を見るといろんな側面がある人だとわかります。これから食べるマクドナルドの味も一味代わりました。

▲ 見た後におもわず食べたバリューセット。美味しかったです・・・