山内ケンジ監督「友だちのパパが好き」を見た。(ネタバレあり)感想。

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7月はあまり本数が見れなかったのですが、出張中に見た「友だちのパパが好き」が強烈だったので感想を書いておきます。

自分の父親のことを「好きだ」と親友のマヤから真剣に告白され、あきれる妙子。その話を聞き、母は笑い飛ばすが、父はまんざらでもない様子だ。妙子への突然の告白をきっかけに、マヤは父親へのアタックを猛然と開始。常識もかえりみないマヤの純愛が、家族、恋人、愛人、先生、同僚とさまざまな人間関係をも巻き込んで繰り広げられる。
スタッフ
監督 山内ケンジ 脚本 山内ケンジ

キャスト
吹越満 箱崎恭介/岸井ゆきの. 箱崎妙子 /安藤輪子 吉川マヤ /石橋けい. 箱崎ミドリ/

友だちののパパが好き(2015年)(105分)

★★★★☆ (85点)

いやーーーー。面白かったです!

この記事の冒頭に貼り付けたポスターなどのビジュアルから、「ほんわかラブコメ的なストーリーが繰り広げられるのかな?」なんて思ってましたが、かなりゾッとする映画でした。

「変わっている人」→「変態」  でも、本人は「純愛」

パパを好きになっちゃう友人マヤに対して初めは「あの子変わってわよね・・・・」くらいの言い方ですが、途中から「変態!」と罵倒します。映画が進んで行くに連れその恐ろしい純愛っぷりで周囲を修羅場に陥れてゆくマヤに対しての罵倒。その通りだと思いました・・・

でも当の本人は「私、変態じゃないです。好きなんで・・・」と突っ走るんですが、実生活上でもごくたまに出会う、ある種の人種をリアルに、上手に誇張して描いているなと思いました。このアルアル感とフィクションのミックスががとてもバランスが良いなと思います。

否会話劇

この映画、会話シーンが面白かったです。とにかく一方通行であり、噛み合わず会話にならない会話劇でした。会話を終わらせたい気まんまんでつづく会話ってありますよね。そんな会話のヤダミが物凄く上手く表現されていて、なんとなく橋田壽賀子先生の「渡る世間は鬼ばかり」を見ている感覚に似ているななどと思いました。また、最近の国会答弁についても似た感覚を感じます。

脇までも、詰めがキツイ

また、主軸になる「友達のパパが好きになっちゃう話」に対して、わきを固める展開も、どれもヘビー級にキツイんですよね。マヤに振られた先生、パパの浮気相手の展開に始まり、ブラックな笑いと怖さにあふれております。奥さんと職場の同僚との不倫に至るシーンなど、笑いと同時に吐き気がしてしまうくらい嫌な感じでした。キャストのみなさんもそれぞれヘビー級にいい演技をされていて、ひとりひとりのキャラクターがビジュアルとともに頭から離れません。

「友だちのパパが好き」は一気にラストまで引きずりこまれる高密度で飽きさせない、一級のコメディであり、ホラー映画です。

寺内ケンジ監督、すごいですね。「テラスにて」「ミツコ感覚」を見たいと思います!