ポン・ジュノ監督のネトフリ映画「オクジャ」感想(ネタバレあり)

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先日Netflixで配信開始されたポン・ジュノ監督の映画、「オクジャ」を見ました。「ハウス・オブ・カード」や、「センス8」「火花」なんかのオリジナルドラマを見て、すごいことになっているなと感心しておりましたが、今回の「オクジャ」はポン・ジュノ監督の新作映画ですよ!今年これが見れるだけでもNetflixにか加入していいんじゃないでしょうか・・・

↓ オクジャ可愛いですよ!

ストーリー

韓国の山間の家で暮らす少女ミジャは、大きな動物オクジャの面倒を見ながら平穏な毎日を送っている。優しい心を持つオクジャは、ミジャにとって親友ともいえる大切な存在だった。ところがある日、多国籍企業ミランド社がオクジャをニューヨークに連れ去ってしまう。自己顕示欲の強いミランド社CEOルーシー・ミランドが、ある壮大な計画のためにオクジャを利用しようとしているのだ。オクジャを救うため、具体的な方策もないままニューヨークへと旅立つミジャだったが……。

監督 ポン・ジュノ
製作 デデ・ガードナー / ジェレミー・クライナー / ルイス・テワン・キム / チェ・ドゥホ
キャスト
ティルダ・スウィントン/ポール・ダノ/アン・ソヒョン/ピョン・ヒボン/スティーブン・ユァン /リリー・コリンズ / ジェイク・ギレンホール

「オクジャ okja」(2017)(120min)
★★★★☆ (90点)

大好きな映画でした!ポン・ジュノ監督は過去作もあらかた見ており、特に「グエムル」「母なる証明」「殺人の追憶」が好きです。ダークで緊張感に溢れた物語の中で、ひょいと最高に可笑しな部分が出て来るところが最高なのです。例えば3作品共通で出てくるドロップキックであり、「母なる証明」ではウォンビンの携帯(ガラ携)をパカパカやるシーンです。凄く緊張感のあるシーンにぶち込んでくるこの辺の可笑しさ、可愛さが好きです。

今回の「オクジャ okja」ですが、ポン・ジュノ監督にしては「ダークでシリアス」よりも、「可愛さ、可笑しさ」を大きく前に出した映画だと思いました。はっちゃけたティルダ・スウィントンや、かわいいアン・ソヒョンとオクジャ、ポップなキャラクターが多く登場しますし、笑いも多いです。その配合は先ほど挙げた3作とは逆のバランスくらいでしょうか。

ポップな中、垣間見せるダークな描写は効きますね・・・特にオクジャがMIRANDO社に捕らえられている時の描写はきつかったです。見事だと思ったのは、終盤の屠殺場のシーンも含め、いたたまれないシーンなのですがが、観客自身に「おまえがそれを言えるのか?」と問いかけてくるような構造になっていてぐさりと来ました。先ほどまで北米土産のビーフジャーキーを食べていたし・・・

また120分の中にこれだけ登場人物を出していて、人物たちが印象的に記憶されるところも素晴らしかったです。当初このキャストとNetflixによるプロジェクトということだけ見て、10話くらいあるのドラマなのかなと思ってしまったほどですが前半の韓国シーンと後半のNYのシーンへの切り替わりと、登場人物の人種の切り替わりを上手く活かして皆のキャラ立ちを良くしていると思います。

中でもポール・ダノやリリー・コリンズ達のALF(動物開放戦線)は面白いですね。様々なシーンでジブリ映画を思い出す今作ですが、彼らについてはラピュタの空賊ドーラー家を思い出しました。対するMIRANDO社の面々もなんとなく全ては憎めないキャラクターでした。

↓リリー・コリンズ素敵でした。

キャラクターが多い事自体がワイワイとした映画の盛り上がりを作り出していると思いました。見終わった後、楽しいお祭に参加した後のような感覚がありました。
同時にずっしり考えさせる部分もあり、本当に見た後の感覚を1所に留めさせてくれない映画です。

しかし、これほどまでに好きにやれるんですね。ポン・ジュノ監督、現在のところ日本の監督でここまでやれる人は残念ながら居ないのが現実ですよね・・・嫉妬しながらも、ポン・ジュノ監督がNetflixで映画を撮った!この自由な快進撃こそ、作品自体の疾走感と面白さにつながっているように思います。

↓ 過去のポン・ジュノ監督作品、また見たくなりました。