監督 ギャビン・フッド
製作 ジェド・ドハーティ/コリン・ファース/デビッド・ランカスター
製作総指揮 ザビエル・マーチャンド
キャスト
ヘレン・ミレン キャサリン・パウエル大佐
アーロン・ポール スティーヴ・ワッツ
アラン・リックマン フランク・ベンソン中将
バーカッド・アブディ ジャマ・ファラ
ストーリー
イギリスとアメリカ合同でのテロリスト捕獲作戦を遂行中に、重要手配者による自爆テロの準備が、まさに進められている様子を偵察ドローンが捉えた。攻撃によって殺害するか否かモニターを前にした各国の軍や政治家の議論が紛糾する中、少女が攻撃爆破圏内でパンを売っている。刻々と自爆テロ用ベストに爆薬を詰める作業が進む中。1人の少女をを犠牲にし80名以上の市民が犠牲に成るであろう自爆テロを防ぐか選択を迫られる。
↓ この予告編、ストーリーまるわかり・・・よく出来過ぎ?
★★★★(星4/4 満点です!)
非常にシリアスな内容ですが、とても評判が高かったので今年1本目の映画として有楽町で見てきました。開始早々ぐいぐい引き込まれ、見終わった後は新年早々すごい映画に出会ったという衝撃と感動に頭がクラクラしてしまいました。
この映画では画面展開の新鮮さにやられました。
3種類の映像視点が効果的かつバランス良く切り替わりながら映し出されながらスリリングに映画が進んでゆきます。
1つ目が、ドローンからの映像です。がタイトルにもなっている、「アイ・イン・ザ・スカイ」偵察衛星、偵察機リーパー、ハチドリ型や、ビートル型のドローン目線の映像で現代の軍事技術にびっくりさせられます。こんなんが戦場で1万体も使われてるのか!?とんでもないことになっているんだな・・・・と思います。
ドローンからの視点はカメラの位置をコントロールするだけで、当然ながら映画的な動きではありません、時に人間を物体のように映し出します。観客としての自分も段々それに慣れてきて爆破後のバラバラになった死体なども直視できてしまうことが心底恐ろしかったです。
2つ目は「アイ・イン・ザ・スカイ」を見る側の人々がいる室内の映像です。ロンドン、北米、ハワイ、ケニアで同時にドローン映像を確認しながら作戦が進みます。今まで見たこともない会議映画となっています。会議映画といえばシン・ゴジラも素晴らしかったですが、「アイ・イン・ザ・スカイ」はより複雑でほぼリアルタイムに進行してゆくので臨場感を感じました。現在のところ究極のグローバル電話会議映画だと思います。
おもわずここで現実の仕事の事をかんがえてしまいました・・・・
政治家と会議をしながら作戦を遂行してゆくベテラン軍人達。手順の確認、法の確認、承認待ち・・・もどかしい手続きを受け入れながらも信念により、作戦完遂に突き進む惚れます。
しかしそういった超ベテランと、ドローンオペレーターの新人軍人の対比も見入っちゃいました。
3つ目はナイロビの現場です。テロリストグループがいて、その中に潜伏している諜報員がいて、そこにパンを売っている少女がいます。攻撃をするための必要な手順として、重要指名手配犯に間違いないか、顔を確認する必要があり、昆虫型ドローンを使って室内の様子を捉えるよう命令が下るわけですが、それを実行する諜報員の「本気でいってんのか?!勘弁!」と言いたい気持ちは、いかほどかと想像してしましました。
▲ 現場で昆虫ドローン操縦中。最後までいい仕事しまくってました。
「事件は会議室で起きてるんじゃい!現場で起きてるんだ!」って言葉が浮かぶところですが、現場では見えない映像や、情報がワンサとあるのです。現代戦は複雑なんですね・・・・
作戦達成のためとはいえ、彼自体がドローンのように扱われてくる恐ろしさを感じ、震えます。
人物達からの多角的視点
先ほどの3つはカメラ映像の視点ですが、人物たちからの視点も、それぞれの視点から多角的に物語を捉えられております。軍人、政治家、現場住民。最後までミサイルを打ち込む側、打ち込まれたミサイルにより理不尽な被害を受ける側をしっかり描きます。そして映画が終わってもその先でこれ等人々がどう変化するかまで考えさせられます。
この映画が素晴らしいのは、これ等の視点のどれかを選んで肯定し、共感を促すわけでなく、あくまでフェアに描いているところです。場面場面によって攻撃を反対する政治家と住民側に立ちたくなったり、作戦を完遂しようとする軍人側にも感情移入してしまします。
アラン・リックマンに捧ぐ
本作のエンドロールでこの言葉を見て初めてアラン・リックマンの遺作であったことを知りました。劇中でも激渋のフランク・ベンソン中将を演じていて、ずっとどこかで見た、味のある役者さんだな。。。と思っておりましたが、ダイハードでの悪役ハンスを演じていた方でした。ハリーポッターの先生役でおなじみとの事ですがあ、私は断然ハンスが印象深いです。何だか子供の様な顔をして笑ったり、ダイヤモンドを発見した時の「うわーーーっ・・・・」という顔、最後にビルから落下する時の顔とか脳裏に焼き付いているんですよね。
▼ ダイハードのアラン・リックマン
本作でも、手順や必要な承認作業のたらい回しにうんざりしながらも、粘り強く軍人としての信念を通す役柄で、最後の言葉にはものすごく説得力がありました。
その他、原作の主人公は男性だったのを女性に変更した役柄を演じたヘレン・ミレンが最高だったり、緊張感のある音楽だったり、パンフレットが良かったりと書きつくせませんが、「アイ・イン・ザ・スカイ」最高でした!