気骨ある礼節の書「CHOOSE CIVILITY 結局うまくいくのは、礼儀正しい人である。」P・M フォルニ

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このところ礼節、マナーの本をいくつか読んでいます。その中でも最も印象に残った本がこの本です。この本の特徴であり私にとって特別だった点は「なぜそうすべきか」説明してくれている点にあります。

丁寧な話し方や、品の良い行動など、礼儀正しく見られるテクニックを学ぶ前に「礼節を重んじるべきであり、自分としてもそうしたい。」という自分の意志をドスンとお腹に落としておくと、一過性のマイブームではなく長きに渡って行動に落とし込めると思います。また、その思いがどんなテクニックよりも所作の節々に現れて来るのではないかと思います。

そして最高なのは著者のP・M・フォルニが書いていることが非常に現代的であり、気骨ある強さを持っていると思うことです。

「信頼できるリーダーは見当たらず、追いかけるヴィジョンも、貫く信念もない。道徳は絶えず揺れ動き、誰もが自分のルールを作って、都合よく書き換えたりする。それが現代の私達の姿だ。正しいことをなす勇気など、いったいどこで見つかるというのか。」ジェイスン・ダーク(ピーター・ガドルの小説「長い雨」の主人公)

本書で引用されている、この小説の主人公のような状況に、私達も常にこのような思いと葛藤しております。

いったいどこで見つかるというのか!・・・・・私達が生活していてより良くなるために判断基準にする「ものさし」が必要です。著者はそれを他者との関係性で生きている私達にとって、「他者とともによく生きる。」「他者にとって良い事かどうか」である。これを基準に行動すれば良い人生が送れるとシンプルながらわかりやすいものさしです。そしてこれこそが、他者に対する礼節が必要な理由であると書いています。

このような冒頭部分を読んで「安易な方向に流されるなよ」と言われているような気がしました。

そして「礼節を守るということは社会というデリケートなゲームで、全員が気持ちよく生きられるようにしよう、と穏やかに圧力を加える行為。」と言えると書いています。安易に流れに乗乗ることへの反骨精神も感じます。礼節をこのように力強いものとして解釈したのは初めてでした。
礼節を守ることについて、窮屈な型にはめられ、自分の個性が失われるのではないかとか、本当の自分を抑えていることになるのでは?という反論もよく言われます。しかしそれは無責任なワガママだと書いています。

もしなにか衝動的な行動に出たくなった時には、少し待って、自制心を働かせる。そうすることでlもっと自分の求める結果に近づけるのではないかというのです。確かに自分らしいと信じて衝動的な行動の結果は殆どの場合、他者から嫌われてしまうような結果となっていたかもしれません。後になって、あのとき自制心を持って、優しい言葉を選ぶ必要があったなと・・・・自分も何度かこれで反省しています。

自制心とは ”後でうれしくなるための技術” である」書かれています。なるほどこれはなんとも、厳しくも優しい言葉ではないでしょうか。この本にはそんな素晴らしい表現が沢山でてきます。それらを現代に生きる自分の感情と対話させながら読みすすめることはとても良い時間でした。

色々と世知辛い世の中ですが、この本を今後も何度となく手を取り、礼節(CIVILITY)ある行動をあえて選びながら過ごしてゆきたいと思います。