「蠕動で渉れ、汚泥の川を 」西村賢太著を悶絶爆笑で読んだ。

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こんにちはエルチ(@elchi3000)です。

西村賢太さんの本は出るたびに読んでます。

今回の「蠕動で渉れ、汚泥の川を 」は「苦役列車」「疒の歌」のような職場ものです。

独白パンチラインが冴え渡る。

毒が大盛りの青春ものですが、凄く笑えるので大好きです。主人公、貫太17歳の自芳軒での日々における、独白は強烈なパンチラインのオンパレードです。いくつか貼っておきますね。

西村賢太bot ‏@nkenta_bot  将来の愛する恋人には、すべての点で寛容である為にも、今のうちから小汚いランクの素人女に慣れておくのは、案外に重要なことであろう。(「蠕動で渉れ、汚泥の川を」)

畜生、よくも……よくもこのぼくを辱めやがって! いつかきっと殴り殺してやるから。近々に癌に冒されて死ぬ運命にでもなったら、そのときは、おまえだけは絶対に道連れにしてやるからな!(「蠕動で渉れ、汚泥の川を」)

 彼には妙な癖があり、平生はただのズリセンで凌げるものが、生活の上で一寸ストイックに事をかまえた状況に至ると、何やら野暮で孤独なズリセンでは慊ず、無性に生身のギャルの髪の匂いと、血の通ったフィンガーによるしごきが、どうにも恋しくなってきてしまうのである(「蠕動で渉れ、汚泥の川を」)

本作は、このところ出された作品の中でも冴え渡っておりました。「うへっ」と引いてしまいつつも、爆笑しちゃうようなポイントがいくつもあります。もっと見たい人は上のbotのtweetを御覧ください。

西村賢太小説が好きだという方はそれだけで信頼できる漢(オトコ)と成るわけですが、

今回の推薦文を湊かなえさんが書いていますが、女性のファンの皆様の話をもっと聴いてみたいです。

17歳に戻りたいか?

よく「若い頃に戻りたいなー!」なんて会話をしますが、本当にそうでしょうか?

この本を読むとその度に感じていた違和感の正体が分かります。

私自身は17歳の貫太に比べると、大変恵まれた環境だったということになりますが、これを読むと若い頃、考えていた事、ヤラカシてしまった事等を思い出して、地下室に閉じこもりたくなってしまう心境になります。

それらを繰り返すと思うと絶対戻りたくないですわ。

しかし、義務的に拘束される時間も減り、たっぷりある時間と金の掛からない生活は「俺はなんだってできるわけだ」という解放感があります。

給料日の週末!池袋に出てホルモン食べて、風俗行って、またホルモン食べて、日本酒飲んでゲロ吐いて・・・・

作中ではこんな開放感にも満ちています。読んでいて非常に気持ちが良いです。

「疒の歌」と並ぶ傑作

私の西村賢太さんの好きな作品No1が「疒の歌」(やまいだれの歌)だったわけですが、本作はそれに並んで傑作です!

貫太の独白や行動がいつもながら、「もうやめてくれーっ!」と泣けてくるのですが、この後貫太19歳の先に「疒の歌」に続くと思うと比較的安心して笑って読めます。セットでオススメです。

以上「蠕動で渉れ、汚泥の川を 」西村賢太著を悶絶爆笑で読んだでした!